「嵐のあとほど気持のよいものはない。こと田舎に住んでいると、自然の脅威は都会よりひどく感じるためか、事なく済んだあとの喜びも大きい。木も草も、ほっとした表情で、青空をあおいでのびのびと呼吸している。」
と、白洲正子は随筆「嵐のあと」のなかで述べています。嵐が過ぎ去り、青空が広がる今朝のこと。三平ではのびのびと呼吸していないものがおりました。玄関先をみてみると、一匹の金魚がかぷかぷと逆さまになっています。「これはいかん」と、すぐに別の水槽に引越し。しばらくはかぷかぷしていましたが、二時間後にはまるで別の生き物のように元気に泳いでいました。よ、よかった。
しかしながら今回の台風12号、紀伊半島においては過ぎ去った今でも土砂災害の可能性があるそうで、安心できる状態にはないようです。また、被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
冒頭の文章のあとにも「せっかくの爽快な気分も、朝刊で暗くなることが多いのだが、…」と続き、文明の発達と自然の脅威について見事に書き上げられています。昭和36年に書かれた文章ですが、今再び読んでみても納得するところの多い、私の好きな随筆のひとつです。

嵐のあと、不動滝にて
引用 白洲正子「雪月花」より「嵐のあと」 神無書房 1991
三平の本棚にありますので、興味のある方は是非。